胃炎とは胃の粘膜に炎症が起きた状態の事で、急性のものと慢性のものがあります。
ストレス、暴飲暴食、ピロリ菌、薬の副作用などが原因と考えられます。
主な胃痛の原因は急性胃炎、慢性胃炎、神経性胃炎の3つです。
急性胃炎は、ストレスや刺激物が原因で胃粘膜に急性的な炎症が起きた状態です。
みぞおちがきりきり痛んだり、食欲不振、吐き気などの症状があります。
慢性胃炎は、原因の約8割がピロリ菌と言われています。胃痛、吐き気、胃もたれ、胸焼け、膨満感、ゲップなどの症状が慢性的に繰り返されます。
神経性胃炎はストレスが原因などで胃痛、胸焼け、のどがつかえる、気分が不快などの症状が表れたりします。
原因を取り除くことが胃炎の予防となりますが、どの種類の胃炎も無症状のこともあるので定期的な検査が推奨されます。
胃や十二指腸にできる潰瘍を消化性潰瘍と言います。
消化性潰瘍は自分の胃酸や消化酵素によって胃壁を深く傷つけてしまうことによって起こる病気です。
薬剤やピロリ菌などにより粘膜が弱り、胃酸や胃液にさらされる事で胃粘膜組織に傷がつきます。
進行すると傷が深くなり穴が開いて、腹膜炎を起こしたり、出血を起こしたりする事もあります。
消化性潰瘍の70%~90%でヘリコバクターピロリ菌が発見されているため、最近ではヘリコバクターピロリ菌感染症が胃潰瘍の原因の主なものとされています。次に多いのが一部の消炎鎮痛薬によるものです。
症状としては、上腹部やみぞおちに鈍い痛みを感じることが多くみられます。
空腹時や食後に痛みを感じる事もあります。
バリウム検査や胃カメラで検査する事ができます。
治療としては胃酸を抑える薬による治療が主であり、ヘリコバクターピロリ菌の除去が推奨されます。
ピロリ菌は胃の粘膜にすみつく細菌です。
胃がんや胃潰瘍とピロリ菌は密接に関係しています。
ピロリ菌の感染が長時間にわたって持続すると、胃の粘膜がうすくやせてしまう「萎縮」が進行し、胃がんを引き起こしやすい状態をつくりだします。ピロリ菌の感染経路は、はっきりとわかっていませんが、ほとんどが幼少期に感染すると言われています。井戸水やピロリ菌に感染している大人から小さな子供への食べ物の口移しなどの経口感染が大部分と考えられています。ピロリ菌に感染した場合は、抗生剤による除菌が可能です。
胃酸は、食べ物を溶かし悪い菌を殺菌する役目がありますが、何らかの原因で胃酸が胃から食道に逆流すると、炎症をおこしたり、粘膜に潰瘍を起こしたりします。この病気を逆流性食道炎と言います。
原因としては、食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋の機能低下や、脂肪の多いものや甘いものばかりを食べたりして胃酸が増えすぎる事でおこります。またバレット食道という状態になると、食道癌に対してのリスクが高くなると言われています。逆流性食道炎の症状としては、胸焼け、喉のイガイガ感、ゲップ、などがあります。
潰瘍性大腸炎(UC)とは炎症性腸疾患の一種で、自己免疫疾患といって自分の免疫が異物を勘違いして自分の腸の壁を攻撃し大腸の粘膜に炎症が起こしびらん(ただれ)や潰瘍ができる原因不明の慢性の病気です。症状としては、下痢が続く、血便、しぶり腹という腹痛、発熱、体重減少などがあります。
再発と寛解(症状が落ち着いている状態)を繰り返すことが多いです。
治療は基本的には薬物療法で腸管の炎症を抑え、免疫反応を抑える薬を使用しまが、重症になると白血球除去療法や手術を行います。
厚生労働省より指定される難病のひとつですが、適切な治療をして症状を抑えることができれば、健康な人とほとんど変わらない生活を送ることが可能です。
過敏性著症候群(IBS)とは消化器系の検査をして、何らかの疾患がないのにもかかわらず、腹痛や下痢、便秘などの便通異常を起こす慢性疾患です。およそ10%程度の人がこの病気であると言われています。
不安や精神的ストレスが加わる事で症状が出やすい病気と言われています。日常生活では、食生活の乱れや睡眠不足、昼夜逆転などが、IBSを増悪させる要因となる事もあります。
・便秘型・・便意があっても出にくく、ウサギの糞の様な便がでる
・下痢型・・慢性の下痢が続き、便の粘液が混ざることがある。毎食後に下痢が発生する事が一般的。
・混合型・・下痢症状が数日続くと、便秘症状が出るといった症状が繰り返される
下記①及び②の2項目以上があてはまる
①最近3か月間に、月に3日以上にわたって腹痛や不快感が繰り返し起こっている
②A)排便によって症状がやわらぐ
B)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
C)症状とともに便の形状がかわる(柔らかくなったり硬くなったりする)
脂肪肝とは、肝臓の細胞の内部に脂肪がたまり肝臓の30%以上が脂肪化している状態をいいます。
現在は日本人の4人に1人は脂肪肝と言われています。放っておくと肝臓の機能悪化や肝硬変、肝細胞癌などの病気になる事があります。
お酒の飲み過ぎ、食べ過ぎ、糖尿病などが主要な原因ですが、無理なダイエットをした場合にもなる事があります。
治療としては、生活習慣を見直すことで改善を図ります。
お酒や食生活に気を付け、適度な運動を心がけましょう。
機能性ディスペプシア(FD)とは、症状の原因となる明らかな器質的疾患がないのに、慢性的にみぞおちの痛みや胃もたれ、膨満感などの腹部症状を呈する疾患の事をいいます。
治療は、胃酸を抑える薬や胃の働きを良くする薬、漢方薬などの薬物療法です。
6カ月以上前から症状があり、直近3カ月以内に下記の1~4の症状が1つ以上ある。
1みぞおちの痛み
2みぞおちの焼けるような感じ
3食後の胃もたれ
4食事開始後すぐに胃が充満した感じとなり最後まで食事が摂取できない
及び器質的疾患が内視鏡検査等で確認されていない事
痔核とは、肛門や肛門周辺に起こる病気の事です。
いぼ痔、裂肛(切れ痔)、痔瘻、肛門周囲膿瘍の4種類があります。いぼ痔はさらに内痔核と外痔核に分かれます。
肛門に強い負担がかかることによって、肛門を閉じるクッションの役割をしている部分が腫れたりその部分を支える組織が弱くなり肛門の外に出た状態です。内痔核は内部の痛覚のない粘膜にできるので痛みを伴いませんが、外痔核は痛覚のある部分に出来るので痛みを伴います。しかし内痔核も進行すると肛門外に脱出したり切れ痔や外痔核を伴うようになり痛みも出てきます。
治療は、軽度であれば座薬や軟膏で痛みや出血を抑えますが、脱出して戻らない状態になった場合には手術やジオン注射の治療が必要になります。
硬い便の排泄や下痢によって肛門の皮膚が切れ、痛みや出血を起こします。
通常は4~5日で自然に治癒しますが、2~3ヶ月以上にわたって治癒しない場合は慢性裂肛と言われます。
治療は、食事療法や薬物療法、手術療法等があります。
肛門周囲膿瘍が進んで慢性化すると痔瘻へと進んでいきます。
大腸と皮膚が肛門以外に出口を作ってしまった状態を痔瘻といいます。単純痔瘻と複雑痔瘻がり治療は手術療法のみとなります。
便秘とは一般的に3日以上排便がなかったり、便が硬くて量が少なく残便感があったりする状態をいいます。
排便時に努責と苦痛を要し、不快感、お腹が張る、腹痛などの症状を呈します。
分類すると機能性便秘3種類と器質性便秘の計4種類に分けられます。
1つ目は大腸の運動機能が低下して起こる弛緩性便秘で運動不足や食物繊維不足、腹筋力の低下などが誘因となります。
2つ目は大腸の過緊張で起こるけいれん性便秘で、コロコロした便になるタイプです。精神的ストレスや環境変化、過敏性腸症候群が誘因となります。
3つ目は直腸に便が停滞する直腸性便秘です。高齢者や寝たきりの方、痔や排便を我慢する方に多いです。
癒着性イレウスや大腸癌、腸管癒着などの器質的な原因がある器質性便秘です。血便や激しい腹痛、腹部膨満があれば医療機関を受診しましょう。
治療には、薬物療法、生活指導、食事療法、心理療法、手術療法などがあります。
おしりの周りの皮膚に膿がたまっている状態です。
急な痛みと腫れで、ときに高熱がでます。
軽度であれば抗菌薬で軽快する場合がありますが、切開、排膿が必要になる場合もあります。肛門周囲膿瘍は繰り返すと痔瘻へ移行し手術が必要になることもあります。
胆石症とは胆石(胆のうや胆管にできる結石)によって引き起こされる病気の総称です。
胆のうにあるものは胆のう結石症(胆石症)、総胆管にあるときは総胆管結石症、肝臓内の胆管にあるときは肝内胆管結石症と言います。
体質や食生活が主な原因とされています。
症状は、腹部から背中の鈍痛や、仙骨発作と言われる激痛、発熱、黄疸などがあります。
発作は食べすぎや脂っこい食事の後30分から1時間ほどで起こることが多く、右肋骨の下からみぞおちまでさし仕込むように痛みます。痛みは数時間も続き吐気を伴う事もあります。
症状がない無症候性のものは、経過観察で十分ですが、発作を起こした場合は、手術の適応となります。
胆のうポリープとは、胆のう内側にできる隆起病変で通常20mm程度までの病変に対して用いられる総称です。
胆のポリープは大きく分けて、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープがあります。腫瘍性ポリープは粘膜の細胞が増殖してでき、良性と悪性があります。非腫瘍性のポリープはコレステロールポリープで、胆のうポリープの約90%を占めます。
胆汁中のコレステロールが粘膜に付着して起こりますが癌になることはほぼありません。
基本的に胆のうポリープには症状がない事が多いので、超音波検査などの定期的な検査が必要です。